今回は「正信偈について①」という題で記事を書きます。
「正信偈について」では正信念仏偈もしくは正信偈についてざっと簡単に知りたいという方に向けて、どういうものなのか?誰が作ったものなのか?いつ作られたのか?どんな内容なのか?を説明していきます。
ですが、まずはその前に「正信偈」について学ぶために必要な背景知識をおさらいしていこうと思います。
正信偈とはどういうものか?
正信偈とは平たく言えば7字の句が120句並べられた、浄土真宗の教義と歴史を概略する偈頌です。
浄土真宗の開祖である親鸞さんが書いたもので、『教行信証』という著作の中に挿入されています。
昔から浄土真宗の法要やお参りなどでよく詠まれていますので、『般若心経』の次に親しまれている”お経”なのではないでしょうか。
正信偈の前提知識
正信偈について学ぶより先に、前提知識を頭に入れておきましょう。
おさえておくべき知識は以下の3点です。
- 浄土真宗は阿弥陀仏と釈迦の二仏を尊ぶ教えである。
- 親鸞が重要視している僧侶が7人存在する。
- この宗派では信心が救済に必要なものとして挙げられている。
では、それぞれについてもう少し詳しく見ていきましょう。
浄土真宗は二尊教
先ほど、浄土真宗は阿弥陀仏と釈迦の二仏を尊ぶ教えと説明しました。
その理由は、それぞれの仏が異なる役割を果たしているからです。
浄土真宗の教えの由来となった経典として、『無量寿経』・『観無量寿経』・『阿弥陀経』があります。
どの経典も、必ず阿弥陀仏と釈迦の二仏が登場します。
全ての経典では念仏による救済が説かれますが、阿弥陀仏がはるか昔に仏になっていなければ念仏による救済は実現しませんでした。
それでも、釈迦が阿弥陀仏の教えを説いて経典として残されていなければ、阿弥陀仏の浄土への往生を志す方は生まれませんでした。
このように、浄土真宗の教義上では阿弥陀仏も釈迦もどちらも重要な仏であり、優劣をつけられることはできません。
よって、阿弥陀仏と釈迦の二仏を同等に重要視する考え方になっているのです。
親鸞さんが重視する七高祖
親鸞さんが重視する僧侶が7人存在するとのことですが、どんな人たちなんでしょうか?
具体的には、龍樹・天親・曇鸞・道綽・善導・源信・源空(法然)の7人です。
この7人は「七高祖」と呼ばれます。
このうち、龍樹と天親がインド、曇鸞・道綽・善導が中国、源信・源空が日本出身です。
なぜこの7人なのかというと、親鸞さんが正信偈や和讃のなどの著作でほぼ必ず参照するのがこの7人だからです。
もちろん、親鸞さんは『教行信証』などの他のお坊さん向けに作られたような固い本では他の僧侶の引用がされています。
ですが、正信偈や和讃などのように教団内で教えを伝え継がれていくために作られたものではこの7人のみが引用されています。
親鸞さんにとってはこの7人のみが真の念仏者であったということでしょう。
特に、七高祖が親鸞さんにフォーカスされていることが分かるのは『高僧和讃』でしょう。
ここでは、龍樹・天親・曇鸞・道綽・善導・源信・源空の功績を称える和讃が収録されておりますが、七高祖以外の僧侶にはほとんど触れられておりません。
また、『教行信証』の簡易版とされる『浄土文類聚鈔』という著作では、七高祖のみ参照され他の僧侶の名前は一切出てきません。
念仏、というより信心が大事
浄土真宗は「一向宗」と蔑称されることがあるように念仏ばかり称えている宗派のように思われることが多いです。
しかし、実は浄土真宗では他の宗派と比べて念仏という行為そのものをあまり重視していません。
もちろんとても大事なのは浄土真宗でも同じなのですが、どちらかというと念仏よりも信心を重視する傾向があります。
なぜなら、念仏にこだわり過ぎると自分勝手な見解で念仏を解釈してしまうからです。
回数が大事だと解釈して百回称えてみたり、断食をしつつ何週間も眠らないで念仏し続けたら悟れるんじゃないかと考えたり
「念仏」という行為そのもに執着してしまいがちです。
確かに念仏は浄土に生まれるための大切な儀式ですが、浄土は煩悩も悪意も飢えもない清浄な世界です。
自分勝手な欲にまみれた念仏ではたどり着くことはできません。
よって、念仏をする際には清浄な信心を得た状態で称えられねばならないのです。
逆に言うと清浄な信心さえあれば、1回だけの念仏であろうと浄土に生まれる権利が現世にいながら与えられるのです。
これが、浄土真宗が念仏よりも信心を重視する理由です。
まとめ
今回は「正信偈について①」という題で記事を書きました。
まずは、正信偈の内容に入る前に浄土真宗の前提知識を軽くおさらいしました。
確認のためにもう一度書きますと、
- 浄土真宗は釈迦と阿弥陀仏の二仏を尊ぶ教えである。
- 親鸞さんは7人の僧侶を大事にしている。
- 浄土真宗は念仏よりも信心を大事にする。
の3つです。
このことを頭に入れて次回の記事を読んでいただければ幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました。

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